半泣きの英語の電話100本ノック

学生の頃、1か月ちょっとの短い間だけアメリカの田舎町でホームステイをしたことがあります。その当時の私の英会話能力といえば、普通に中学、高校、大学受験で勉強したというごくごく日本で標準的なレベル、つまり読むのならなんとかなるかもしれないけれど、リスニングなどは壊滅的、話すなんてとんでもない、というレベルでした。

 

ホームステイ先の老夫婦はインテリで穏やか、そしてとても優しい人たちでした。しかし、日本から来たこいつをなんとか英語を話せるようにさせてやろうという親切心から、私にとんでもないことを言いました。「ここに滞在している間、かかってきた電話はすべてお前がでるように」

 

面と向かっての会話ですらままならないのに、電話なんてまず無理に決まっています。しかも相手が誰かもわからず、聞き取れないことで失礼があるかもしれません。無理だと伝えると、彼らはこう言いました。「英語を話せるようになりたいなら、とにかく下手でもなんでもいいから話せ。それしかない。話せ、話せ、話せ」。

 

その日から電話の音におびえながらのステイになりました。何度も何言ってるかわからない早口の英語に半泣きになりました。

 

しかし、私が英語が不自由だとわかると、みんな簡単な英語でゆっくり話してくれます。冷静になれば、なんとかわかるようになります。そしてブロークンでも単語の羅列でもなんでもいいから、とにかく話してみました。すると少しずつですが英語に慣れてくるのです。

 

ある時彼らにそう伝えてみました。すると「伝えようとすればきっと誰かが助けてくれる。だからとにかく話しなさい」と穏やかに答えてくれました。

 

あれからかなりの年月がたち、いまだに私の英語はどうしようもないレベルです。しかし、あの電話特訓のおかげで、話す度胸だけはつきました。街で英語で話しかけられても、ひるむことはなくなりました。

 

あの老夫婦が言いたかったことは、こういうことなんだとそのたびに思い、今でも心から感謝するのです。

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